メジャーリーグを舞台に戦う日本人投手たちについて、対照的かつ興味深いニュースが相次いで報じられた。カブス入りが決まった今永昇太のユニークな契約内容の詳細が明らかになる一方で、パドレスのダルビッシュ有が意外な形で侍ジャパンに関わることが判明した。若き左腕の挑戦と、ベテラン右腕の献身。それぞれの現在地を詳報する。
今永昇太、最大総額116億円への道筋
カブスとの契約合意が発表された今永昇太(30)だが、その契約内容は極めて複雑かつ独創的な「エスカレーター式」であることが米メディアの報道により明らかになった。基本線となるのは契約金100万ドル(約1億4500万円)に加え、2024年の年俸が900万ドル(約13億1000万円)、続く25年が1300万ドル(約18億9000万円)という滑り出しだ。
注目すべきは25年シーズン終了後の展開である。ここで球団側がオプション(契約選択権)を行使すれば、26年と27年の年俸はそれぞれ2000万ドル(約29億円)、28年は1700万ドル(約24億7000万円)へと跳ね上がる。仮に球団がこれを見送った場合でも、今永側には26年の契約を1500万ドル(約21億8000万円)で延長する権利が発生する仕組みだ。
さらに契約の分岐点は26年終了時にも設けられている。球団が再びオプションを行使すれば、27年は2400万ドル(約34億8000万円)、28年は1800万ドル(約26億1000万円)という大型契約に発展し、5年総額で最大8000万ドル(約116億円)に達する可能性がある。球団が行使しない場合、今永自身が27年に1500万ドルのオプションを行使する権利を持つ。
この契約には、新人王獲得で25万ドル、サイ・ヤング賞で100万ドルといった出来高払いも含まれているほか、トレード拒否権も付帯している。当初は一部球団のみが対象だが、球団側がオプションを行使した時点で対象は全球団に拡大されるという。契約満了後はFAとなるこの大型契約は、実力次第で報酬が積み上がる、まさに実力主義を体現した内容と言えるだろう。
リハビリ中のダルビッシュ、異例の「助言役」復帰
一方、代表チームを巡っても大きな動きがあった。パドレスのダルビッシュ有(39)が、2月に宮崎で行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた日本代表合宿に、アドバイザー的な立場で参加することが関係者の話で分かった。
ダルビッシュは昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けたばかりで、現在はリハビリの途上にある。しかし、井端弘和監督からの強い要請を受け、2月14日から始まる宮崎合宿に合わせて帰国し、後輩たちへの指導にあたる意向を固めたようだ。正式なコーチ登録はされないものの、2009年と2023年のWBC優勝を知る経験豊富な右腕が、侍ジャパンに再び合流することになる。
前回の2023年大会では、メジャー組で唯一、宮崎合宿からチームに参加。栗山英樹監督のもと、若手投手陣に惜しみなく技術や心構えを伝え、世界一奪還の原動力となったことは記憶に新しい。今回も「精神的支柱」としての役割が期待されている。
この驚きのニュースに、前回大会をともに戦った巨人の大勢投手も反応した。「まさか来てくださるとは」と驚きを隠せない様子で、「前回もすごく心強い存在だった。大会前にいろんな話を聞いて、多くのことを吸収したい」と歓迎のコメントを寄せている。手術明けという決して万全ではない状況下でも、日本球界のために尽力するベテランの姿勢は、新生侍ジャパンに大きな影響を与えることになりそうだ。
