米大リーグ機構(MLB)は、2026年シーズンのトレード期限を米国東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前)に設定したと各球団に通達した。FanSidedのロバート・マレー記者らが報じている。例年7月の最終木曜日などに設定されることが多かった期限だが、2026年は過去と比較しても遅い日程での決着となる。
試合進行への配慮と「ハグ・ウォッチ」の回避
この日程設定の背景には、試合開催時間との兼ね合いがある。機構側は、試合進行中にトレードが成立することで生じる混乱や、移籍が決まった選手がベンチでチームメイトと抱擁を交わす、いわゆる「ハグ・ウォッチ」等の事態を避けるため、試合が行われていない時間帯を期限に設定することを望ましいとしている。
直前の週となる7月29日から31日にかけてはデーゲームが少なくとも1試合ずつ組まれており、水曜日と木曜日には移動日の試合(ゲッタウェイ・ゲーム)がある。特に7月31日の金曜日には、リグレー・フィールドでのカブス対ヤンキースという注目のデーゲームも予定されている。こうした事情から、全8試合が午後6時40分以降に開始される「8月3日」が最適解として選ばれたようだ。
2022年労使協定による柔軟な運用
このような柔軟な日程調整が可能になったのは、現行の労使協定(CBA)によるものだ。かつての協定では7月31日が固定の期限だったが、現在は7月28日から8月3日の間で機構が自由に設定できる権限を持っている。今回のように、設定可能な範囲の中で最も遅い日付が選択されたのは初めてのケースとなる。
この現行協定は、そもそも機構と選手会との激しい交渉の末に生まれたものだ。歴史を振り返れば、2022年3月10日(日本時間11日)、約100日間に及ぶロックアウトを経てようやく基本合意に達した経緯がある。当時は30球団のオーナー投票で満場一致(30票)の賛成を得て協定が締結され、各球団はフロリダ州とアリゾナ州に分かれて春季キャンプをスタートさせた。
ユニバーサルDHとプレーオフ拡大
この協定により、メジャーリーグのルールや構造は大きく変革された。今も続く主要な変更点として、以下の2点が挙げられる。
1. ユニバーサル指名打者(DH)制の導入 ナ・リーグでも指名打者制が正式に採用されたことで、リーグ間のルールの垣根が取り払われた。これにより、エンゼルスの大谷翔平(協定締結時27歳)のような例外的な「リアル二刀流」での出場ケースなどを除き、投手が打席に立つ機会は事実上消滅することとなった。
2. プレーオフ進出枠の拡大 ポストシーズンの出場チーム数は、以前の各リーグ5チームから6チームへと増加した。現在は3つの地区優勝球団に加え、それらを除く勝率上位3球団(ワイルドカード)の計6球団でリーグ優勝を争う形式が定着している。組み合わせにおいては、地区優勝の3球団の中から勝率上位2球団がシードされる仕組みだ。
さらに、この協定は「守備シフトの禁止」「ピッチクロック(投球間隔の厳守)」「ベースの大型化」といった、2023年シーズンから導入された新ルールの土台ともなった。2026年のトレード期限設定に見られる柔軟性は、こうした数々の変革と共に、現代のMLBを形作る重要な要素となっている。
