全米メディアの投票によって決まるNTRA(全米サラブレッド競馬協会)の3歳馬トップランキングが発表された。4月26日までのレース結果を反映した第14週の勢力図は、まさに5月2日にチャーチルダウンズ競馬場で控える三冠レースの初戦、ケンタッキーダービーへの最終プレビューと言っていい。ランキングのトップ3は、それぞれが1位票(全28票)を分け合う形で拮抗しており、今年の世代レベルの高さが窺える。
首位に立ったのは、ロバート&ラワナ・ロウ夫妻とリポールステーブルが所有し、オークローンパークでのG1アーカンソーダービーを制したレネゲード(1位票17)。トッド・プレッチャー厩舎とイラッド・オルティスJr.騎手のタッグで、今年は2戦2勝と完璧な成績を誇る。これに続くのが、ワスナンレーシング所有のG1フロリダダービー馬コマンダメント(1位票6)と、スペンドスリフトファームの持ち馬であるG1ブルーグラスステークス覇者ファーザーアドゥ(1位票5)だ。コマンダメントはブラッド・コックス調教師とルイス・サエス騎手のコンビで3戦全勝。同厩舎のファーザーアドゥはジョン・ヴェラスケス騎手を背に2戦1勝2着1回と、いずれも大舞台で頂点を狙える器だ。
トップ3を猛追する伏兵陣の層も非常に厚い。フロリダダービーでコマンダメントの2着に入ったザ・プーマ(OGMAインベストメンツ等の共同所有、G.デルガド厩舎/J.カステリャーノ騎手、今年4戦1勝2着2回3着1回)、サンタアニタダービーを快勝したソーハッピー(ノーマンステーブル他所有、M.グラット厩舎/M.スミス騎手、今年3戦2勝3着1回)、そしてルイジアナダービーで無傷の2連勝を飾ったクララヴィッチステーブル所有のエマージングマーケット(C.ブラウン厩舎/F.プラット騎手)らが虎視眈々と栄冠を狙う。さらにマイケル&キャサリン・ボール夫妻が所有するフロリダダービー3着馬のチーフワラビー(W.モット厩舎/J.アルバラード騎手)や、スピードウェイステーブル所有でサンフェリペステークス覇者、サンタアニタダービーでも2着に好走したポテンテ(B.バファート厩舎/J.エルナンデス騎手)まで、錚々たる実力馬がひしめき合っている。なお、直近の4月29日にはサイレントタクティックが蹄の挫石により無念の回避となり、代わってウッドメモリアルステークス覇者のアルバスがトップ10に浮上するなど、10-9-8-7-6-5-4-3-1のポイント制で決まるランキングの順位変動は本番直前まで慌ただしい動きを見せている。
海を越えたアメリカのダート戦線がこれほどの熱を帯びる中、翻って日本の芝路線でも、世代の頂点を見据える若き才能が着々と牙を研いでいる。
東京スポーツ杯2歳ステークスで2着に入ったゾロアストロ(牡3、宮田厩舎)が見せた動きは、まさに陣営の確かな期待を裏付けるものだった。レース本番ではハマー・ハンセン騎手が手綱を取る予定だが、美浦のウッドチップコースで行われた追い切りには杉原騎手が騎乗。6ハロン81秒4、ラスト1ハロン11秒4という好時計を強めのアクションでマークし、併せた古馬3勝クラスのロジシルバーを半馬身突き放すシャープな伸び脚を披露した。
宮田調教師が「促してからのタイムラグも減っているし、いい時計でまとめられた」と確かな手応えを口にすれば、跨った杉原騎手も「レベルの高いいい馬ですね。持っている素質は相当だと思います」と絶賛の言葉を送った。洋の東西、あるいはダートと芝の違いこそあれ、大一番に向けて極限まで研ぎ澄まされていく3歳馬たちのポテンシャルには底知れない引力がある。日米の競馬ファンにとって、最も胸が高鳴る季節がいよいよ佳境を迎えようとしている。
