木. 5月 7th, 2026

メジャーという過酷な舞台の歩き方:WBCを辞退するパヘスと、初スタメンで躍動したソン・ソンムン

ドジャースのアンディ・パヘス外野手(25)が、次回WBCのキューバ代表入りを打診されながらもこれを辞退したというニュースが流れてきた。地元キューバメディアのヨーダノ・カルモナ記者が19日(日本時間20日)にXで伝えたものだが、彼の残したコメントがいかにも現在のメジャーリーグの過酷さを物語っている。「自分にはレベルアップすべき部分が山ほどあるし、長いシーズンに向けた準備が必要なんだ。一番大事なことに集中させてほしい」と。

16歳で母国から亡命し、2018年3月にドジャースと契約。2024年4月16日に念願のメジャーデビューを果たした彼は、2年目となった昨季、156試合に出場して打率.272、27本塁打、86打点、14盗塁、OPS.774という堂々たる数字を残した。順調にキャリアを築いているように見えるが、それでも彼は足元を冷静に見つめている。チームメイトの大谷翔平(31)が侍ジャパンへの合流を決めた一方で、ムーキー・ベッツ(33)やフレディ・フリーマン(36)といった百戦錬磨の主力たちもまた、それぞれアメリカ代表とカナダ代表の座を固辞した。ナショナルチームのユニフォームに袖を通す名誉よりも、まずは自らのメジャーリーガーとしての地位を確固たるものにすること。パヘスの決断は、実にシビアで現実的なプロの選択だと言える。

こうして己の立ち位置を守るために国際大会を見送る若手がいれば、一方でようやく巡ってきたチャンスに死に物狂いで食らいつく選手もいる。舞台は変わってサンディエゴ。パドレスのソン・ソンムン内野手が、メジャーのグラウンドでついに本来の輝きを放ち始めた。

ジェイク・クロネンワースが7日間の負傷者リスト(IL)入りしたことに伴い、火曜日に再昇格を果たしたソン。実は4月26日にも一度呼ばれていたのだが、その時は7-12で敗れたダイヤモンドバックス戦に代走として出場したのみだった。事実上、この日がメジャーでの「初スタメン」だったわけだが、結果から言えば彼は最高の形で起用に応えてみせた。

「9番・二塁」で名を連ねた彼は、4回の第2打席でチームに5-4の逆転をもたらす2点タイムリーツーベースを放つなど、4打数2安打2打点、おまけに1盗塁まで決める暴れっぷり。解決策を見出せずに貧打に喘いでいたパドレス打線にとって、彼のハッスルプレーはまさに起爆剤だった。

KBO(韓国プロ野球)のキウム・ヒーローズで9シーズンを過ごし、通算80発をマークした打撃センスは伊達ではない。2024年にオールスター出場を果たし、ポスティング直前の昨季(2025年)は144試合で打率.315、出塁率.387、長打率.530という好成績を残して三塁手としてゴールデングラブ賞にも輝いた。オフにパドレスが彼と4年1500万ドルの契約を結んで海を渡らせたのは、次なる韓国人メジャーリーガーのスター選手へ飛躍してほしいという期待の表れだ。

今季、AAAエルパソでは打率.293、出塁率.364、長打率.354とまずまずの数字を残して昇格の時を待っていた。クロネンワースの離脱というチームの緊急事態は、彼にとってはレギュラー定着へ向けた千載一遇のチャンスでもある。当面は空いた二塁でのスタメン起用がメインになりそうだが、遊撃や三塁もこなせるユーティリティ性も、今後生き残っていく上で大きな武器になるだろう。

華やかな国際大会を蹴って目の前のレギュラーシーズンに賭けるパヘスと、主力の離脱というアクシデントに乗じて自らの居場所を切り拓こうとするソン・ソンムン。国籍も現在の立ち位置も違う二人だが、直面している現実は重なる。メジャーリーグという巨大なパイの奪い合いの中で、いかにして生き残っていくか。それぞれのサバイバルゲームは、ここからさらに熱を帯びていく。

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