日米のプロ野球が本格的に動き出す中、それぞれのステージで新たな闘いに挑む外野手たちがいる。一方はレギュラー定着を目指して打撃を磨く日本の若手有望株、そしてもう一方は、負傷者続出のチームを救うべくメジャー昇格を果たすベテランだ。置かれた立場や環境は違えど、試合への出場機会を勝ち取り、チームに貢献しようとする熱意に変わりはない。
後輩への誓いと打撃の意識改革
阪神タイガースの前川右京外野手(22)は今、並々ならぬモチベーションを胸にキャンプへ臨んでいる。母校である智弁学園(奈良)のセンバツ出場が決まったのだ。宜野座キャンプには野球部の後輩たちも訪問する予定となっており、「いいところを見せられるように頑張ります」と、先輩としての頼もしい姿を見せるつもりだ。
アピールに向けて、前川は自身の打撃スタイルに明確なテーマを設けている。フリー打撃では20スイングで5本の柵越えを放ち、持ち前のパワーを披露した。しかし、本人の意識はあくまでライナー性の打球を打つことにあるという。「遠くへ飛ばしたい欲を捨てて、コンパクトにいきたい」と語るように、現在の最優先事項は確実性、つまり打率の向上だ。まずはミート力を高め、打球速度が上がってくれば自然と長打率も伴ってくるという計算がある。し烈な外野手争いの中でより多くの出場機会を掴むため、若き大砲は着実に自らのバッティングに磨きをかけている。
メッツを救うベテランの緊急合流
一方、海を渡ったメジャーリーグでは、経験豊富なベテラン外野手が緊急昇格を果たす。The Athleticのウィル・サモン記者の報道によると、ニューヨーク・メッツがトミー・ファム外野手(38)のメジャー契約を選択する方針を固めたという。ファムは開幕日にマイナー契約を結び、傘下シングルAでわずか4試合に出場したばかりだった。現在メッツの40人枠は37人で空きがあるため、ファムを登録するための障壁はない。あとはアクティブ・ロースターの枠を空けるだけで手続きは完了し、早ければロサンゼルスで行われるドジャースとのシリーズに合わせてチームに合流すると見られている。
負傷者続出の緊急事態と実績への期待
メッツがこのタイミングでファムを急遽メジャーへ呼び寄せた背景には、外野陣の深刻な駒不足がある。主軸のフアン・ソトがふくらはぎの張りで負傷者リスト入りし、少なくともあと1〜2週間は離脱が避けられない。さらに、スプリングトレーニングで絶好調だったマイク・トークマンも、開幕直前に半月板の手術を受けて5月まで復帰できなくなってしまった。
ソト不在の間、チームはルーキーのカーソン・ベンジ、内野手のブレット・ベイティ、そして控えのタイロン・テイラーやジャレッド・ヤングといった選手たちで両翼をやり繰りしてきたが、結果は芳しくない。球界屈指のプロスペクトとして期待される新人ベンジはデビューから14試合で打率.130、出塁率.231、長打率.196(wRC+ 33)とプロの壁にぶつかっている。不慣れなポジションを守るベイティも三振率が約30%に達し、打撃指標のwRC+は60と低迷。テイラーは今季ここまで打率.211(wRC+ 91)にとどまっており、彼がリーグ平均以上の打者だったのはブルワーズに所属していた2022年が最後だ。ヤングは今季23打席のサンプルでこそ好成績を残しているものの、2022年のカブスでのデビュー以来、メジャー通算出場数は56試合と経験不足が否めない。
こうした苦しい台所事情の中で、メジャー13年目を迎えるファムの安定感はチームにとって非常に魅力的な要素だ。過去8回のフルシーズン(162試合制)では常に116試合以上に出場。これまで10球団を渡り歩き、通算1200試合以上でwRC+ 111を記録してきた輝かしいキャリアを持つ。
2020年シーズン以降の成績を見ると、打率.241、出塁率.323、長打率.384(wRC+ 96)と、リーグ平均を4%ほど下回っているのは事実だ。それでも、彼にはメッツでの確かな実績がある。2023年シーズンにメッツでプレーした79試合では、打率.268、出塁率.348、長打率.472(wRC+ 124)という素晴らしい数字を残し、その年のトレード期限でナ・リーグ王者のダイヤモンドバックスへと移籍していった。クイーンズで輝きを放った当時の魔法を少しでも取り戻せれば最高だが、仮に近年見せているリーグ平均レベルの働きであっても、崩壊気味の現在の外野陣を支えるには十分すぎる後押しとなる。十分な出場機会が与えられるであろう今、百戦錬磨のベテランが再びメッツの起爆剤となるか注目が集まる。
